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アメリカでソリューションアーキテクトとしての 5 年を 2022 年で振り返って

つい最近、技術的にも人間的にも敬意を払ってる友人と焼肉を食べてきた際に「1年の振り返りはやった方が良いよ~」とアドバイスをもらったので、アメリカで Solution Architect として5年ほど住んでみたことの振り返りと反省を書いてみようかなと思っています。私についてのざっとの内容は以下とかを見ると分かりやすいかもしれません。
normalian.hatenablog.com
念のためざっと自己紹介すると、私自身は大手系 SIer として日系企業に勤めた後、外資企業にソリューションアーキテクトとして転職して3年弱位でアメリカに渡米し、今のところ何とか無事に5年ほど無事に過ごすことができました。外資系企業に転職後、役割の差は大小あれど一貫してソリューションアーキテクトとして働いております。英語経験についてよく聞かれるのであらかじめ記載すると、自身の経歴としては日本国外に在住経験は全くなかったどころか、初めてパスポートを作ったのが大学院卒業後というレベルです。

渡米1~2年目

この辺りは純粋に英語でかなり苦労しました。RareJob で何度も英会話のトレーニングをして、渡米前は講師の方とはそれなりにスムーズに話せるようにはなりましたが、渡米した後に non native と話すことに慣れていない現地勢と話したときに全く伝わらずに非常に苦労しました(汗。結果としては RareJob の講師の方々は日本人のダメ発音に慣れすぎてるせいで、発音の矯正を何もせずに伝わらないというのを痛感した初年度でした。自分の能力を100としたら10も出せればいい方だなというのが渡米当初の実感でした。
本社がシアトルの会社に勤めている状況でロサンゼルスに赴任したこともあり、現地の同僚がほぼ居ない状態で就業したので現地のことを聞ける相手が全くいない状態だったので現地の生活に慣れるのにも非常に苦労しました。T-Mobile のとある支店の店員には英語がダメすぎて追い返されたり、SSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)申請時にスタッフに英語ができなすぎるのを小声で笑われた等は、英語ができない勢の場合はアメリカでは(少なくともロサンゼルスでは)通常運転です。これは単なる個人的な体感ですが、英語で意思疎通ができないレベルの人間に対して在米現地民は相当に対応が雑です(これに比して、いわゆる GAFAM 村の方々は英語が苦手な移民の対応に慣れている人が多いので優しい人が多いです)。
純粋に英語が厳しい&現地に慣れるのに苦戦するという意味で最初の半年くらいは仕事らしい仕事になりませんでしたが、他のメンバーが答えられないような内容を真摯に答え続けることで徐々に技術的な腕をかってくれる方々も増えました。あれやこれやと、自分の役職の枠を超えて現地のでどぶさらいみたいな仕事でも拾いながらこなした結果、お客さん側(相手は日本人皆無な native speaker 多めでした)の SVP/VP レベルの方々の信頼も得、仕事は比較的順調で世界規模にサービス展開する案件の CI/CD 回しながらの Windows Container やら Microservices のかなり deep なところをやれたので面白かったです。
※やっぱ最低限の意思の疎通ができる言語力と相手から信頼される程度の能力(技術だけに限らず)が無いと死ぬというのは痛感しました

実はこの辺のロサンゼルス時代はコロナ渦でなかったにもかかわらずほぼリモート勤務だったので、お客さんとは非常に親密になった人は何人かいましたが、non Japanese な同僚とは英語的なコミュニケーションがつらすぎることもあって中々親密な関係を持てなかったというのが率直な反省でした。逆にロサンゼルス時代の日本人同僚の方々とは今も親密な関係を持たせて頂いていることもあり、なんだかんだで米国側に移住した場合、同郷の人間しか同郷からの移住の苦労は分かりっこないので、下手に肩肘張らずに日本人の先住移民の方々に素直に相談したほうが良いと身に染みたのもこの辺です。何だかんだで手探りでの試行錯誤の期間でした。

渡米3年~5年目

この辺からはある程度は英語のコミュニケーションに慣れてきたので、同僚とくだらない雑談ができる頻度がかなり増えてきました。とはいっても、私自身の腰が引けていて中々に深入りしたコミュニケーションがとれないなと思う状況は未だに残ってるなぁとは思います(汗。くだらない雑談をする同僚とは家族の話題なり、お互いの出身国の愚痴なり、人種問題の雑談なり、かなり深入りして会話できることを実感できるようになったなぁとは思っています。
仕事ではインド・ドイツ・北アイルランド・オランダ等々に出張し、現地での Hands-On 系のイベントを主催・実施したので、この辺りからは色んな人を巻き込んで親密なコミュニケーションをとりながら仕事をできるようになったのを実感しました。自分の中でも「日本国外でも普通に仕事ができるようになったなぁ」という感覚で、ここにたどり着くまでにはアレやコレやと涙なしには語れないアレコレはありますが、何とか日本語圏外でも仕事ができるようになったかなと思ってます。

今後について

私の役職である「Solution Architect という役職に就いた後、次のステップでどういったキャリアを形成するのか?」というのは他の Solution Architect 各位の話を聞いても中々に悩んでいる方が多いかなというのが率直な印象です。渡米前は「日本国外のことは分からないし、渡米して2~3年くらいは働いてみてから次のステップを明確にしよう」という気持ちはありましたが、既にその2~3年は突破してしまいました(汗。とはいっても、渡米して GAFAM 系の本社側だからこそ見える組織構成や会社としてのオペレーションが色々と見えてきたなぁというのも実感です。
技術に関しては「Azure 全般に対して幅広かつ踏み込んだ知識を持っている」という感じで、総じて高い評価を貰っているかなと信じています(リップサービスが上手い人たちが多いので確信はないですが)。ただ、現在は Azure プラットフォーム自体を取り巻く領域が体系化・成熟してきた実感もあり「Azure 全般が得意」というような強みでなく「Azure の〇〇の専門家」や「Azure と××を組み合わせる専門家」等の今よりも踏み込んだ領域での専門性は作らないといけないなとは思っている状態です。
現業のタスクも学びが色々と多く励みになっていますが、2023年では中長期的なキャリアに対して具体的な一歩と言える結果を出したいなと思っています。

(おまけ)他国の IT 事情について

各国の案件を支援して実感することは『自分の国は特殊だから~』と自称する方の案件で各国の特殊性を感じないという点です。この辺り、日本人の他国と話さない方ほど「日本は特殊なので~」と言って思考停止するケースをよく見ましたが、日本以外でも自国以外の人間のやり取りをする頻度が低い人ほど自国を特殊だと思い込んでいる人が多いなという印象です。Twitter 等だと「日本は海外と比べて遅れて~」等の発言を聞きますが、各国でも塩漬け案件は山の様にあるので、私個人の感覚として、他の国の印象はこんな感じです。

  • アメリカという文脈でシリコンバレーが意図されることが多いが、アメリカ国内でもシリコンバレーや GAFAM は特殊扱いされてる(2022年の年末に 70% のフライトをキャンセルした某アメリカ航空会社は「90年台の IT を未だに使い続けている」とか言われてるんで
  • 日本とかドイツみたいに2000年辺りに IT 投資をできる余力があったところは既存資産があるのでマイグレーション案件が多め
  • オーストラリア・ニュージーランド外の APAC 各国とかは今 IT 投資を進めてることが多いので、移行案件よりも新規案件が多め
  • ヨーロッパも保守的な国はすごく多く「契約にないけどこれ何とかしろ」と突っ込んできたのは日本とヨーロッパ某国

上記は単なる私の肌感なので統計値を取ったら当然話は変わると思いますが、シリコンバレー&GAFAM を除き、現場の業務システム系では欧米圏と日本に大きな差はないなぁというのが率直な感想です。

散文的な文章となってしまいましたが、皆様も良いお年を過ごして頂ければ幸いです。意見・コメント等有れば頂ければ嬉しいです。